達人に聞く、「カラーデザイン」の話。【浅葉克己氏編#3】時代を先取りする色づかい
国際カラーデザイン協会のシニアカラーデザインマスター桜井輝子が各界の達人を訪ね、「カラーデザイン」にまつわるあれこれをインタビュー。ここでしか聞けない、とっておきの話をご紹介します。
浅葉 克己 氏 Katsumi Asaba
アートディレクター
国際カラーデザイン協会会長
1940年神奈川県横浜市生まれ。桑沢デザイン研究所、ライトパブリシティを経て、75年浅葉克己デザイン室を設立。代表作にサントリー「夢街道」、西武百貨店「おいしい生活」、武田薬品「アリナミンA」等。日本アカデミー賞、亀倉雄策賞など受賞多数。東京ADC委員、東京TDC理事長、JAGDA会長、AGI日本代表、東京造形大学客員教授、桑沢デザイン研究所10代目所長。卓球六段。2002年紫綬褒章受章。13年旭日小綬章を受賞。
アートディレクター
国際カラーデザイン協会会長
1940年神奈川県横浜市生まれ。桑沢デザイン研究所、ライトパブリシティを経て、75年浅葉克己デザイン室を設立。代表作にサントリー「夢街道」、西武百貨店「おいしい生活」、武田薬品「アリナミンA」等。日本アカデミー賞、亀倉雄策賞など受賞多数。東京ADC委員、東京TDC理事長、JAGDA会長、AGI日本代表、東京造形大学客員教授、桑沢デザイン研究所10代目所長。卓球六段。2002年紫綬褒章受章。13年旭日小綬章を受賞。
取材日/場所:2016年9月8日(木)/株式会社 浅葉克己デザイン室(東京都港区)
- 浅葉克己氏 ♯3
- 時代を先取りする色づかい
- 国際カラーデザイン協会が毎年3月に発行している『カラーデザイン検定』のパンフレットも、浅葉先生の作品のひとつですが、いちばん最初の年(2010年)は赤・青・黄のシンプルで力強い3色でした。その後、毎年の色はどのようにお決め頂いているのでしょうか?
- これは、その時の時代の気分を色に置き換えるように、感覚で決めている。時代を先読みし、近未来をテーマにすることをイメージして。
- こうして全部並べて見ると、実に興味深いですね。
左から順に
1. | 2010年/小惑星探査機「はやぶさ」が世界で初めて地球重力圏外天体に着陸し、奇跡の生還を果たした。流行語は「ゲゲゲの」。 |
2. | 2011年/東日本大震災により、「絆」の大切さが再認識された。流行語は「なでしこジャパン」。 |
3. | 2012年/東京スカイツリーの完成。流行語は「ワイルドだろぉ」。 |
4. | 2013年/2020年夏季オリンピックの開催年が東京に決定。流行語は「お・も・て・な・し」。 |
5. | 2014年/ディズニー映画「アナと雪の女王」が世界中で話題となり、日本でも大ヒットを記録。流行語は「ダメよ~ダメダメ」。 |
6. | 2015年/ピース・又吉直樹の「火花」が芥川賞を受賞し、大きな話題となった。流行語は「爆買」。 |
7. | 2016年/ゲームアプリ「ポケモンGO」や、映画「君の名は。」が大ヒットを記録し社会現象を巻き起こした。流行語は「神ってる」。 |
- 先生は、依頼される仕事を断ったことがないと聞きますが、年間を通して休みなく多くの仕事を手がけていらっしゃるというのに、そのアイディアはどこから出てくるのですか?
- なんか「パッ」と閃くね。「パッ」とね。僕は毎朝起きると、書を書く。毎日臨書をしているんだけど、書いている時には不思議と色んなアイディアが出てくるんだよね。何かを書くという行為からは、その人の心や、何かを伝えたいという気持ちが滲み出てくると思う。
- 2015年1月に銀座gggで開催された個展に伺わせて頂きましたが、キャッチコピーが「デザイン生活60年、卓球生活40年、書道生活20年」とあったのは、そのことだったんですね。
※編集部注…2015年1月に銀座gggで開催された個展を皮切りに、2015年から2016年にかけて福島、千葉、京都、静岡と全国各地で浅葉克己氏の個展が開催された。
- 僕は勝どきのあたりに倉庫をもっているんだけど、あの時は毎日寝ないで、版下のコラージュを作ったんだよ。今じゃみんなデジタルになっちゃってるから、版下なんてないもんね、貴重だよね。
浅葉克己氏 版下コラージュ作品
※編集部注…版下(はんした)とは、印刷の製版用原稿のこと。紙の台紙に写植や図版などの印画紙を貼り付けたもので、これをもとに印刷用フィルムを制作した。90年代半ば以降はDTPが主流となり、版下が作られることはなくなった。