【日本の伝統色】Japanese Traditional Color Vol.12〈最終回〉
2024年10月23日 「日本の伝統色」あれこれ
「日本の伝統色」をテーマにしたコラムを、全12回シリーズでお届けしてまいりました。
今回が最終回となります。最後までお楽しみください。
経営の神様と呼ばれた、ピーター・ドラッカー氏(1909-2005)の著書には、
「21歳までに学んだことは5年から10年で陳腐化し、新たな理論、技能、知識と替えるか、少なくとも磨かなければならない」という一節があります。
これは経営というフィールドに限ったことではなく、学生時代に学んだどのような知識であっても、
あるいは、社会人になってから習得した実務知識や資格試験に関する知識であっても同じことで、
私たちは呼吸をするように「日々自分をアップデートしていく」ことが求められているのかもしれません。
「カラーなんて勉強して、なんか得することあるの?」
「昔の人たちが使ってた色を覚えても、べつに使う場面なんかないんじゃない?」という考えの方もいらっしゃることを承知していますが、
そのような方は、この連載コラムを読んでくださることはなかったでしょう。
コラムを読んでくださった方々が、
「今まで意識して考えたことはなかったけど、なるほど!」
「普段は使わないけど、面白いな。今度何かで使えるかもしれない」
と感じて頂けたとするならば、それこそが、ご自身の知識を磨くことにつながっていたのではないかと思います。
ずいぶんと偉そうな物の言い方になってしまいましたが・・・
実は私自身、20代の頃から「色彩学」を学んできた割に、
日本の伝統色や生まれ育った東京の色について、ほとんど無頓着、無知なままで過ごしてきました。
画像は、石原慎太郎氏が東京都知事を務めていた期間(1999-2012)に作られた『TOKYO COLORS』という冊子で、
東京都庁に行けば誰もが購入できたのですが(現在は絶版)、その内容は知らないことのオンパレードで大いにショックを受けました。
◆たとえば歌舞伎の隈取(くまどり)の色とかたちは、その役柄の素性、人柄、性癖とつながっていて、
紅色(べにいろ)の隈取は正義のヒーロー役に、藍色(あいいろ)の隈取は敵役に使われるのだそうです
なんと、赤はヒーロー、青はヒールの色だったのですね!
古い時代のことを学んぶと、それは間違いなく、クリエイティブな新しいことを考える時の土台になってくれるのではないかと思います。
これまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
(文・写真 桜井輝子/ 画像の出典:『TOKYO COLORS』東京を訪れる海外の方のために作られたガイドブックで現在は絶版)