【日本の伝統色】Japanese Traditional Color Vol.7
2024年10月22日 「日本の伝統色」あれこれ
第7回目のテーマは ◆桜と抹茶 vs フランボワーズとピスタチオ◆ です。
甘いお菓子のパッケージには、
「ピンク(赤)×黄緑」の組み合わせが比較的多く使われます。
それが和菓子ならば、日本の伝統色で「桜色」と「抹茶色」の組み合わせ。
洋菓子ならば、フランスの伝統色で「フランボワーズ」と「ピスタチオ」になるでしょうか。
良く似た配色でも、雰囲気が大きく変わるところが面白いですね。
色に携わる仕事をしている方々は、
ご自身がお客様に提案する色に対して「最も適切な呼び名を探す」という作業が日常化していると思います。
例えばパーソナルカラーのご提案でも、
ブルベのサマーのお客様に「赤を着るなら、紫みの赤が似合います」と伝えるよりも、
「フランボワーズのような、紫みのある赤がお肌をきれいに見せてくれます」と伝えるほうが
受け取って頂きやすいのではないでしょうか?
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もう少し深く考えてみましょう。
「明るい黄緑」は、日本の伝統色で「萌黄(もえぎ)」と呼ぶのが一般的です。
同じ発音で「萌木」と書くこともあります。
木々の芽吹きの色、新緑の色であり、平安時代から使われてきた筋金入りの伝統色です。
これに対して英語圏では、明るい黄緑を「アップル・グリーン(Apple Green)」と呼ぶことがあります。
さらにフランスの伝統色では「ヴェール・シャルトルーズ(Vert Chartreuse)」となります。
シャルトルーズとは、シャルトルーズ修道院で伝統的に製造されている、香りの良いリキュールのことです。
同じ黄緑でも、その呼び名(色名)には、それぞれの地域の文化が反映されています。
(文 桜井輝子/画像 フリー素材を加工・編集)