【日本の伝統色】Japanese Traditional Color Vol.4
2024年10月22日 「日本の伝統色」あれこれ
第4回目のテーマは ◆紅白の意味◆ です。
なかなか面白い話なので、ぜひお読みください。
日本で「縁起の良い配色」といえば赤と白、紅白(こうはく)ですが、
赤と白が揃うとおめでたいとされる理由には、さまざまな説があります。
❶日本人は昔からおめでたい事があると赤飯を炊き、餅を振る舞う習慣があるため、
ハレの日の食べ物として「赤飯と白餅」は全国的に一般化している。
この事が、「紅白はおめでたい」という概念の基盤を形作っているとする説。
❷室町時代の朱印船貿易において、中国は日本向けの品物に目印として紅白の紐をかけていた。
これが「献上品には紅白の紐をかけるもの」という誤解を生み、紅白の水引(みずひき)のルーツになったという説。
❸赤は人の誕生、白は人の死を象徴する色であることから、紅白は人の一生を表しているとする説。
この世に誕生したばかりの状態は「赤ちゃん」、
生まれた年の十干十二支(じゅっかんじゅうにし)が60年後に一巡して戻ってくるのは「還暦の祝い」。
亡くなられた方に着せる「死装束」などがその例。
ほかにも
❹源平合戦で源氏の旗色は白、平家の旗色は赤。敵と味方が一同に揃うからおめでたい、という説もあるようです。
しかしながら、❹については「合戦の時の、敵と味方を区別するための色」なので、
大晦日の紅白歌合戦や、運動会で赤組・白組に分かれて得点を競うというルーツとして解釈するほうが、より自然かもしれません。
※❶❷の参考文献:「日本色彩学会ニューズ」2006年12月号(No.245)
色彩文化雑感(大阪大谷大学短期大学部教授・須田勝仁先生による寄稿部分)
(文 桜井輝子/写真 Adobe Stock)