なごや色さんぽ#17【三河湾の黒真珠】
2019年04月01日 カラーコラム「なごや色さんぽ」カラーデザインマスターによるカラーコラム『なごや色さんぽ』
第17回目はついに海を渡り、知多半島と渥美半島に抱かれた、風光明媚な佐久島へ。
佐久島は三河湾に浮かぶ離島で、面積は約1.73㎢(東京ディズニーランド3個分)。信号もない(車がほとんど走ってないから)、コンビニもない。
そんなのどかな島には、日本唯一の紫色の砂浜がある?!
奇しくも今日はエイプリルフール、信じるか信じないかはあなた次第。さぁ、どうぞ。
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【三河湾の黒真珠】
西尾市一色港から船で20分、東港から歩いて5分、林のトンネルを抜ければ佐久島の東側の海岸に、ほんのり紫色の砂浜が広がっています。
紫色というだけあって、神秘的な感じ。今では、恋に効く砂浜として有名なスポットなんだとか。
その砂浜の正体はというと、よーく見るとムール貝の貝殻でした!
昔から島の岩場にはムール貝が張り付いていて、波が寄せては返すたびに細かく砕かれ、砂浜を美しい薄紫に染めたのだ、と島で出会ったおばあちゃんが教えてくれました。
高齢化・過疎化の問題を抱えるこの島は、18年ほど前から島の自然・歴史・祭り・産業にアート作品をプラスして島おこしを行ってきました。
島の各所には、アート作品22点が常時展示(屋外)されていて、登ったり寝転がったり、自然の中で作品と一体となって楽しめます。
もう一つ、島で印象的な風景は、島の西側に広がる黒壁の家並み。
江戸時代、海運で栄えたこの島では、船底に防水のためにコールタールを塗っていました。
そのコールタールは家を潮風から守り、防虫防腐の効果もあるので、集落の民家の外壁にも塗られるようになったそう。
コールタールは艶やかな黒。このことから、「エーゲ海に浮かぶ白い宝石」(ギリシャ・ミコノス島)になぞらえて「三河湾の黒真珠」と称され、島民やボランティアの方によって大切に保全されています。
三河湾の黒真珠、それは島の一部の景観を例えた言葉にはあらず。
何もないはずだった島の魅力が、島民や観光に訪れた方々によって再発見され、さらに磨かれ輝く。私には、島全体がまるで宝石のように見えました。
byカラーデザインマスター 松下恵美子