なごや色さんぽ#16【 半田赤レンガ建物~煉瓦色~ 】

2019年03月18日 カラーコラム「なごや色さんぽ」

カラーデザインマスターによるカラーコラム『なごや色さんぽ』
第16回目は、赤レンガ建物の赤(煉瓦色)です。今回は愛知県の知多半島にある半田市をご案内します!

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【 半田赤レンガ建物~煉瓦色~ 】
煉瓦色(赤煉瓦のような赤みのくすんだ茶色)は、明治以降に誕生した比較的新しい色名です。
煉瓦は砂や粘土などを練って形成し焼いたもので、原料によってさまざまな色となりますが、代表的な赤煉瓦は酸化焼成で焼き、粘土の中の鉄分が反応して赤色(酸化鉄)になります。

赤レンガづくりの建築物は、明治以降に文明開化の象徴として数多く建てられました。それと同様に「煉瓦色」も、文明開化の象徴の色と言えます。

そんな「煉瓦色」を楽しめる場所が半田市にあります。
みなさん、赤レンガと聞いて思い浮ぶ建物はどこでしょう?
5大赤レンガ建築として、「横浜新港埠頭倉庫」「東京駅」「北海道庁旧本庁舎」「富岡製糸場」、そして「半田赤レンガ建物」があります。

半田赤レンガ建物は、明治時代に「カブトビール」の製造工場として誕生しました。
当時、大都市を控えた既存4メーカー「キリン、サッポロ、アサヒ、エビス」に挑戦した一地方都市のビール会社「カブトビール」。

大手4大ビールメーカーに果敢に挑戦し、パリ万国博覧会に出品し金賞受賞。戦前の5大ビールメーカーのひとつに数えられる功績を残しました。
安定した温度や湿度を必要とするビール工場として建てられた半田赤レンガ建物は、当時の断熱構造建築の先駆的実例であり、
現在ではほとんど例を見ない、ビール蒸留工場として極めて特徴的な構造も見て取れます。

設計者は、明治建築界の三巨匠の一人、「妻木頼黄(つまきよりなか)」。横浜赤レンガ倉庫や日本橋(装飾)なども彼の設計によるものです。

半田赤レンガ建物では現在、赤レンガ建物の物語を楽しめる常設展示室、イベントホール、カフェなどがあり、コンサートやマルシェ、生の「復刻カブトビール」なども楽しめます。
ぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか?

byカラーデザインマスター 安藤里子