なごや色さんぽ#14 【名古屋は金色がお好き?】
2019年02月16日 カラーコラム「なごや色さんぽ」なごやを中心に活動するカラーデザインマスターがお届けする『なごや色さんぽ』
第14回のテーマは名古屋と金色。皆様はどのようなイメージをお持ちでしょうか?
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【名古屋は金色がお好き?】
名古屋といえば名古屋城そして金鯱が有名です。
鯱は水を呼ぶという空想上の生き物で、木造建築の屋根上に火除けのまじないとしてされてきました。
それがなぜ金色である必要があったのでしょうか?
慶長大判1940枚分という金で造られた金鯱、それは徳川の権力財力を天下に知らしめるためでした。
1612年に築城されてから空襲で焼失するまで、金鯱は青い空、銅板葺の緑青色の屋根の上に燦然と輝き、遠い昔は東海道からもその金色が見えたそうです。
城郭建築において国宝第一号であった名古屋城。現在の天守閣は昭和34年コンクリート造りで、金鯱も18K約88㎏で再現されました。
しかし名古屋城の金色は鯱だけではありません。
万が一のため重要文化財は運び出してあり、2018年それらを基に本丸御殿が復元公開されました。
狩野派絵師による金箔の張られた豪華絢爛な襖絵や金板と黒漆の格天井、煌びやかな飾り金具など、当時の一般庶民は決して見ることが出来なかった美しくそれは見事な金色の世界。私たちは今、その当時の金色の世界を堪能できます。
現天守閣は低い耐震性の懸念から木造復元計画が起こり、今は一般公開を終えました。
先日名古屋市長が文化庁に現天守閣の解体許可を要請し、金鯱がおろされる日も近いかもしれません。
名古屋のシンボル金鯱不在の危機!?でも大丈夫、JPタワー名古屋のKITTE名古屋にスタイリッシュな金鯱がいます。
こちらの鯱もすごい迫力ですが、人を背中に乗せてくれるとはなんともフレンドリー。人々の憩いの場のここには銀の鯱もいますので、探してみてください。
名古屋ではお菓子のパッケージからマンホールの蓋にまで金鯱が踊り、名古屋はどうしても金色と濃密なイメージでしたが最後にひとつ。
1997年と少々古いのですが、愛知淑徳大学が実施した調査【名古屋の文化と市民生活】をご紹介します。
地域差を考慮して無作為抽出された成年名古屋市民3317名対象、回収率30.3パーセント。
興味深いのが「名古屋を色に例えると何色か?」という問いに対して、果たして第一位は「灰色」161票。続いて緑色、白色、第六位にやっと「金色」16票だったのです。
この結果、名古屋の堅実で真面目な気質が見えた気がします。
byカラーデザインマスター 後藤紀子