なごや色さんぽ#12【大須の色。商店街を巡る】

2018年12月01日 カラーコラム「なごや色さんぽ」

なごやを中心に活動するカラーデザインマスター達がお届けする『なごや色さんぽ』
第12回のテーマは街並みの色です。今回取り上げるのは、

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【大須の色。商店街を巡る】
名古屋市の代表的な繁華街の一つである「大須商店街」。
その歴史は幕末から始まり、現在に至るまで何度となく栄枯盛衰を繰り返して今では多くの人で賑わう商店街となっている。

その中でもアーケードを中心とした商店が多く立ち並ぶ通りは、より観光客に分かりやすくアピールするために通りが色分けされている。
その色分けは通りの特徴を色濃く表しているので今回は通りの色分けをご紹介したいと思う。

まずは、大須商店街の中心を東西に貫く「万松寺通り(ばんしょうじどおり)」。
大正時代大火事により衰退した大須に寺領を解放して歓楽街へと育て上げた「萬松寺(ばんしょうじ)」の名前を冠している。
平日でも多くの人が行き交う通りはアクティブの象徴である「鮮やかな橙(#f39700)」が用いられている。

その万松寺通りを直行するかたちで、南北に伸びる通りが「新天地通り」。
かつては東京の秋葉原、大阪の日本橋に追随する電気街として栄えた通りである。
今もその名残は残っており、通りの色も機械的な冷たさ、重厚さを表す「コバルトブルー(#0068B7)」が用いられている。

そして、万松寺通りの北端から東西に伸びる通りが「赤門通り」。
大須商店街では唯一雨よけが無い通りである。
赤門の由来は通りの西端にある「大光院」の門が赤色であったところにある。
その通りの色は赤よりも若干明度が抑えられた「グール(#E60012)」が用いられおり、当時の門に使用されていた塗料を彷彿とさせる。

赤門通りと直交する、大須商店街の西側大通りは北と南で呼び方が異なる。
北側は「大須本通り」。通りを直進すると名古屋城へと通ずる大須本来の中央通りである。
この通りの色は非常に特徴的な「青紫(#011B6A)」を配色しており、北は名古屋城、西は大須観音と通ずる要としての色を感じさせる。

南側は「門前町通り」である。通りを南へ進むと、浄土真宗の別院である西別院、東別院へと向かう事ができる。
大須は門前町としての顔も持っており、通りの色は桃源郷を彷彿とさせる「鮮やかな紫赤(#EE87B4)」である。

大須本通り、門前町通りから西へは大須観音へ向かうアーケードが2本連なっている。
大須本通りと門前町通りの境にある通りが「大須観音通り」。大須演芸場もこの通りが最寄りである。
大須観音への通じる道であるからであろうか、通りの色は高貴の色とされる「濃い紫(#6B1685)」が用いられている。

門前町通りの途中から、大須観音の仁王門へ向かう通りが「仁王門通り」。
大須商店街でもかなり歴史を感じさせる通りであり、大須ういろを代表とする老舗の多い通りでもある。
通りの色は仁王像をイメージしたであろう「鮮やかな黄赤(#EA5520)」が用いられている。

最後に仁王門通りから東へ伸びるアーケードが「東仁王門通り」。この通りは非常に特徴的で多種多様多国籍なムードが漂う通りとなっている。
その独自性を誇示するかのように通りの色は「深い緑(#009944)」を呈しており、重厚なアーケードとともに独自性を強調している。

大須に訪れた事がない方はもちろんのこと、
普段から大須に足を運ばれる方でも通りのイメージとそこに配された色に思いを馳せながら、アーケードを歩いてみるのもまた一興ではないだろうか。

by チームなごや 楯好則