なごや色さんぽ#4【 四間道 ━白と黒の世界の中の新と旧━ 】

2018年07月01日 カラーコラム「なごや色さんぽ」

カラーデザインマスターによるカラーコラム『なごや色さんぽ』
第4回目は四間道の白と黒です。

*******

【 四間道 ━白と黒の世界の中の新と旧━ 】
四間道。
「しけみち」と読む。

名古屋駅からも歩いて行けるこの道は、1610年名古屋城築城と同時に開削された堀川沿いに位置し、その水運を利用した清州越し商人が発展させた。
1700年の大火で道幅を四間(約7m)に広げたのがこの道名の由来という説がある。
その隆盛を誇った商人の栄華の跡が、道の片側に今も残る石垣に黒瓦と白漆喰の土蔵群。もう片側には黒格子が印象的な町屋の並びだ。

かつて商人の往来でにぎわったこの道は、今は静寂の中だ。
この界隈に許される色彩は黒と白。
有彩色では濃い茶色のみという厳しい基準がある。
歴史の重みにより粛々と守られているこの色彩基準ゆえに、ここに美は佇む。
木や瓦という日本古来慣れ親しんだ素材のぬくもりの黒。そして漆喰の独特な柔らかい白。それらがノスタルジックな感情と混ざり合い、この四間道を何とも居心地の良い対比の空間へと成しえている。

そんな古式ゆかしいこの道界隈、今はおしゃれな街へと生まれ変わりつつあるようだ。
迷路のような細道をふらりと歩くと、はたりと素敵なお店に出会う。それはちょっとした玉手箱を開ける楽しさと重なる。

byカラーデザインマスター 後藤紀子