なごや色さんぽ#1【 ミッドランドスクエアの「深縹」 】
2018年05月18日 カラーコラム「なごや色さんぽ」「チームなごや」による、カラーコラム『なごや色さんぽ』。
名古屋を中心とした東海地方のご当地情報や魅力を、「色」を切り口にしたショートコラムで、全国のみな様にお届けします。
コラムの執筆を担当するのは、国際カラーデザイン協会(ICD)中部支部に所属する、カラーデザインマスター有志により結成された「チームなごや」です。
どうぞ最後までお楽しみください。
最初の一歩は、名古屋の玄関口である名駅(めいえき)から。駅前にそびえるミッドランドスクエアを彩る青のお話です。
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【 ミッドランドスクエアの「深縹」】
ミッドランドスクエアは、名古屋駅前に建つ超高層ビル。スタイリッシュな外観は、背の高いハンサムなコンシェルジュが、「よういりゃぁた」と来訪者をお出迎えしているよう。ちなみに「ミッドランドスクエア」のミッドランドは真ん中にある地方=名古屋を意味しています。
ビル内に足を踏み入れるとまず目に入るのが、空間の随所に使われている印象的なジャパンブルー(藍染めの青)。
藍による染色は、青の繊細な濃淡の違いにより生まれる豊かな色のバリエーションが特徴です。そのため「藍四十八色」という言葉が生まれるほど多くの色名があります。
縹(はなだ)色は、藍だけで染めた色の総称で、薄い色から濃い色まで「白縹」「浅縹」「次縹」「中縹」「深縹」などの種類があり、これら中で最も濃い「深縹(ふかきはなだ・こきはなだ)」がミッドランドスクエアのメインカラーとして選ばれています。
近代的なビルと伝統色名「深縹」の組み合わせには、ビルのコンセプトである格調と賑わい、オフィスと商空間、歴史と革新、和と洋・・・対極にある二つの要素のバランスをとり、融合させるという意味合いが込められているそうです。ミッドランドの名古屋は日本列島のど真ん中にあるからこそ、ヒト、モノ、コト、日本全国、世界などさまざまなものをつないで結ぶ街であることを、「深縹」という色が象徴しているのかもしれません。
2027年のリニア中央新幹線開業を控え再開発計画が進行中の名古屋は、「通過点(名古屋飛ばし)」から、ここが「つなぐ」街、ここで「出会う」街へと変化しつつあります。ミッドランドスクエアで「深縹」を目にすると、企業や人の願いや想いを託された「色」たちの頼もしい働きぶりに思いが巡り、色のチカラに勇気づけられるのです。
写真には「JRセントラルタワーズ」と「大名古屋ビルヂング」も、だまし絵のように隠れて写っています。さがしてみてください。
byシニアカラーデザインマスター[エグゼクティブ] 平松里香