達人に聞く、「カラーデザイン」の話。【久保田秀明氏編#4】色で「脳波の可視化」

国際カラーデザイン協会のシニアカラーデザインマスター桜井輝子が各界の達人を訪ね、「カラーデザイン」にまつわるあれこれをインタビュー。ここでしか聞けない、とっておきの話をご紹介します。

達人に聞く「カラーデザイン」の話

久保田 秀明 氏 Hideaki Kubota
クリエイティブディレクター
凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター シニアクリエイティブディレクター。1979年、凸版印刷株式会社入社。2007年グラフィック・アーツ・センター、センター長就任。2012年より現職。プリンティング・ディレクション部門活動と各種クリエイティブ協会・諸団体との関係強化を担う。シニアクリエイティブディレクターとしてデザイン分野で幅広く講演、企画支援活動を行っている。

取材日/場所:2017年5月25日(木)/東京都港区

久保田秀明氏 ♯4
 色で「脳波の可視化」
久保田秀明
今までの色彩心理は、赤って色はだいたいこうだったということで、実証実験してみて多数決でこういう意味だと言える、ということをやってきたと思うんですけど、私が今やりたいと思っているのは、先生のような勘の良いエスパーたちが、配色を見ながら「たぶんこんな感じがする」とかいう印象を実証して、なんていうのかなぁ、理屈からのアプローチではなくて、勘の良い人が口を揃えて言ったことを実証して、そのエッセンスをどう組み上げて診断の指標にしていくかということを突き詰めていきたいような気がするんですよね。
桜井 輝子
すごいですね。それは全く新しいアプローチですね。
久保田秀明
たとえば20人、30人という人たちにメソッドをお伝えして診断してもらう中で、なんとなくピンとくる方が半分くらいでてくると思うんですよ。見立てが上手な方がね。で、その人がある程度までいくと、今度は理屈では説明のできないような領域にぽっと入る瞬間がきますよ。そういう人たちの、勘の良いところのエッセンスをもう一回拾い上げてひとつの筋道ができるんじゃないか、なんていうことを考えているんですよね。
桜井 輝子
あぁ、面白いですね。学ぶ側にとっても、自分はどこまでの潜在的な能力があるのかわからないところからスタートするわけですね。
久保田秀明
そうするとね、新しい世界が生まれるような気がするんですよね。色と心理の分析って今までは浅かったような気がするんですよ。例えば、手相なんていうのは見る人が見たらよく当たりますよね。
桜井 輝子
そうですね。
久保田秀明
それって何かなと思った時に、脳のシワが具現化されているのかなって思うんですよ。たぶん脳のシワって人によって密度が違うと思っていて、その密度の違いが手の筋に現れているんじゃないかって捉えると理解できるんですよ。思考っていうのは箇条書きにできることじゃないんですよ。なんとなくのイメージのもやもやした集合体になっている。それを無理やり言葉にすると変になっちゃうんだけど、そのもやもやっとしたものを色に連動させると素直に出てくる。そこで出てきた色を翻訳していくわけですよ。

つまり、色で脳波を可視化できるんじゃないかと思うんです。思わぬ深層心理の形もその中に反映されてくるんじゃないかと。そうすると、別の意味での人間の真理が見えて、人間関係の新しい捉え方のところまで発展するんじゃないかなと思うんですよね。

脳波
桜井 輝子
「脳波の可視化」というキーワードが、非常にインパクトがありますね。
久保田秀明
例えばある組織においても、おのずとリーダーになる人は色で決まっているし、リーダーの取り巻きになる人も、取り巻きにならない人も、その間を取り持つ人も、組織の図式というのがはっきりと見えてくるんですよ。
桜井 輝子
今の世の中は、既存のシステムに行き詰まりが出てきています。その中で、目に見えないものが共通で見える形になるというメソッドは、とてもニーズがあると思います。人々が潜在的に求めていることではないでしょうか。
久保田秀明
そうですね。あともうひとつ、色で人を捉えるときに大きく4つに分類する考え方があるんです。鮮やかな色調のビビッドトーンのグループ、濁った色調のダルトーンのグループ、明るい色調のパステルトーンのグループ、暗い色調のダークトーンのグループっていう4つのグループがあるんですよ。はっきりと分類できる人もいれば、混ざっている人もいるんだけれども。それによって相性が決まってくるんですよね。なんでこの人とうまくいったりいかなかったりするんだろうって言ったときに、この4つの指標がけっこう参考になるんです。
トーン
桜井 輝子
ぜひ詳しく教えてください。
久保田秀明
鮮やかな色が好きな人っていうのは、実務家、実業家肌、営業肌ではっきりしたことを好むし、はっきりとした交渉やわかりやすくサクサク整理していくってことが得意です。真逆なのはダルトーンのグループで、はっきりしたことが大嫌い、右か左かっていう判断が大嫌い。ぽわっとしたニュアンスだけで生きていきたいっていう系統です。芸術家肌なんだけど、そういう人ってわりとダルトーンで色を構成するから、営業肌の人から言わせれば、なんでこんな汚い色を使うんだって嫌がられるんですよ。でもアーティストの人から言わせると、営業が赤、青、黄、緑のはっきりした色を身につけているとなんて下品なんだろうって思うんですよ。この両者はものすごく話が合わなくて折り合いがつかないんです。

パステルトーンっていうトーンは女子高生肌っていうんだけど、流行に敏感で私はどういうふうにしたら可愛く見えるのかっていう外見を気にするようなところがある。要は、魂が外を向いているんですよ。夢見がちで子供っぽいところがあるけれど、ある種の気の強さもあるので小さなグループの長になるような性格がパステルトーンです。その真逆なのが、暗い色を出す系統で学者肌といって厳格な先生の集団なんですよ。よく勉強します。迂闊なことはやりたくない、流行は関係ない、ファッションも関係ない。真実は何かを求め哲学をしていくんですよ。これは本当に真実なのかってことで、いろんな過去の文献を漁って読んで研究をして実証していくっていうようなスタイルなんですよ。この厳格な学者と女子高生は相性が悪くて「君、もうちょっと計画的に生きていかないと将来困るよ」「今が楽しくなかったら何の意味があるのよ」みたいな感じになって話が合わないんですよ。非常に対局な関係になっている。

この4つの軸で人間関係ができているって大きく捉えるとね、今まで人間関係で悩んでいた人もスッと気が楽になって、自分と相性が合う人合わない人が半分ずついるんだなって理解ができるから、心の平安につながるんですよね。無理してはいけないってことですね。

厳密には、もう2タイプあるんですよ。今言ったのが、地球の中の赤道直下と地核と北極圏と南極圏の話だとすれば、月のように衛星で浮いているグループが2つあるんですよ。ひとつは蛍光色のグループで色立体には入ってこないタイプです。エキセントリックで普通じゃ嫌って人。もう1つはメタルトーン、金銀の世界です。この2つは月と太陽みたいな位置づけかな。

変わり者以外だいたいははじめに話した4つのグループに入っていて、営業肌の人でも虹の七色を持っている人は本部長にはなるんですよ。大きな会社の大きなトップにはなってくるんだけど社長にはならない。社長になるのは金銀の世界の人です。人種が違うんです。だから、営業成績が良くてのし上がっていっても筋が違うってことですね。ものすごく権力を持って頑固なのが金銀の世界。虹の七色を持っている人は執行役員止まりですね。そうゆう違いがありますよ。蛍光色の人は、全く社会とは関係のない別の世界の人です。

桜井 輝子
面白いですね!わかります!
久保田秀明
この大きな分類と個々の色の意味とで、なんとなく心の世界のどこに住んでいる人なのかが見えてくるんです。そこが面白いと思うんですよね。
桜井 輝子
久保田さんがおっしゃるように脳波の可視化を色で行うことによって、見えない世界が見えるようになり、結果として人間関係が円滑になったり、自己実現に繋がったりしそうですね。
久保田秀明
うん。みんな人間関係には色々と悩んでいるんですよ。なぜかあの人に惹かれるとか、あの人とは合わないとか、そういうことを暗黙知の中でもやもやしながら生きていっていずれ死んでいくんだけど、それがもうちょっと具体的にイメージが可視化されて掴めると、迷わなくて済むかもしれない。
桜井 輝子
それはすごいですね。色彩心理の新しい可能性を感じます。

編集部まとめ
久保田氏からのヒントは、「色が発するメッセージに耳を傾けること」。
色で「脳波の可視化」をするという全く新しいアプローチは、これからのカラーデザインの在り方を考えさせてくれる。

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