なごや色さんぽ#2【名鉄電車の「スカーレットレッド」】

2018年06月01日 カラーコラム「なごや色さんぽ」

カラーデザインマスターによるカラーコラム『なごや色さんぽ』
第2回目は、名駅から電車に乗ってお出掛けです。さあ、出発進行!

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【 名鉄電車の「スカーレットレッド」 】
「めーてつ」=「名古屋鉄道」のこと。愛知全域をカバーしている唯一の私鉄なので、言わずと知れた愛知県民の足である。名鉄電車の色といえば、真っ先に思い浮かぶのは「スカーレットレッド(やや黄みの赤)」だろう。

これはもともと、1961年に導入され一世を風靡した、7000系「特急パノラマカー」の専用塗装の色だった。①事故防止のために視認性の高い色、かつ、注意・警戒を表す色だから。②当時は沿線に田畑が多く、緑色の補色の赤色は景観に映えるから。というのが赤色である主な理由であるが、赤色は進出色でもある。実際よりも、大きく速く見せたいという狙いもあったのかもしれない。

パノラマカーは運転席を2階に上げて車体の先頭部分を客席とした日本で初めての展望車であったが、その開発コンセプトには「すべての人に前の景色が見られる電車」があり、特に「子供に前=“未来”が見える電車であるように」と、開発に関わった人々の強い願いがあったという。2009年にパノラマカーは惜しまれつつ引退してしまったが、親の手を引き先頭車両へ向かった懐かしく楽しい思い出は、今でも胸の中にある。

赤色は、愛と生命の色、人と人とをつなぐ絆の色。名鉄電車は今日も、たくさんの思い出を乗せて、未来へと走っている。

byカラーデザインマスター 松下恵美子